ノビル

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01.植物名(和名)ノビル
02.花言葉タフなあなたのことが好き、胸の高まり、よろこび
03.学名Allium macrostemon Bunge
04.科名Amaryllidaceae(ヒガンバナ科)
05.和名(漢字)野蒜(のびる)
06.別名ヒル、ヒルナ、ヌビル、タマビル、キモト、ノラッキョ、チョウセンノビル
07.英名Chinese garlic、Japanese garlic、Korean garlic
08.ローマ字名Nobiru
09.中国名薤白 (山蒜)
10.生薬名薤白(がいはく)、小根蒜(しょうこんさん)
11.花期 3月〜5月、ときに秋
12.使用部位(薬用部位)根、茎、葉の白色部、
(食用部位)鱗茎、葉
13.薬用、食
14.有用植物・食薬区分表薬用  
15.採取と調製(薬用部位)4~9月の開花前に採取し、表面の皮やひげ根を取り除く。その後に水洗いし使用する。
(食用部位)開花前に採取し、鱗茎と葉を調理して食べる
※採取時は葉を引っ張るとちぎれやすいのでスコップで根を掘る。大きい球の株だけ採り、後は埋め戻す。
16.植物解説日本全土に自生し、農道や山道、河原などに普通に群生する多年草。ひげ根をもつ白い球状の鱗茎が地中で分球して次々と新しい鱗茎をつくり、旺盛に繁殖する。葉は細長い狭線形で長さ30cmほどになり、断片は三日月状、ちぎるとネギやニラに似た香りがする。初夏に花茎が伸び、先に紫黒色で小球状の珠芽(むかご)と花蕾とが一緒になった花序をつけ、開花して結実するが、種子形成は極稀である。実際はほとんどが花を欠き、珠芽のみをつけ、これが落ちて萌芽し群生する。似た有毒植物にタマスダレやスイセンがあり注意を要するが、これらは香りがなく、球根が茶色で、葉の断片の形状が違う等の点で区別できる。
17.薬効と用法民間療法で滋養強壮、食欲不振に乾燥させた鱗茎1日3~5gを水600mLで30分ほど煎じ、3回に分けて服用する。血を補い、良く眠れるとされる。1日数個を生で食べてもよい。また、焼酎などにつけて薬酒とし1日杯1~2杯飲む。
虫刺されには鱗茎をつぶした汁を塗る。腫れ物の痛みなどには、全草を金網の上で黒く焼いて粉末(黒焼粉末)にしてゴマ油で練り合わせるか、あるいは、鱗茎をつぶして小麦粉で練ったものを塗布する。鎮咳、去痰、気管支炎、整腸、月経不順に黒焼粉末と砂糖を湯に溶かして飲む。
18.食べ方しょうゆ漬け:下処理、下茹でしたノビルを煮沸消毒した瓶に醤油・鷹の爪と共に入れる。それを冷蔵庫で1週前後寝かせる。
天ぷら:下処理したノビルに揚げ衣を付けて油で揚げる、てんぷらの場合、下茹では不要である。ニンニクやネギのような香りが楽しめる。
酢味噌和え:ノビルを下処理したのち2分ほど茹でる。そののちに冷水で冷まし、水気をしっかりととる。酢、味噌は大さじ1杯、砂糖は小さじ1杯(適宜増減可)使用し、酢味噌を作ったのちに合えれば完成である。
・熊本県内では、白根の部分の膨らみがあるノビルによく似たワケギネギとタマネギの交雑種で、学名はAllium x wakegi Araki)使った「一文字のくるぐる」という郷土料理が知られているが、この伝統料理のインパクトが強く、「ワケギのくるぐる」なる料理を県内の山菜料理好きの女性部有志らの協力により試作して頂いたことを思い出す。
19.参考文献
  1. 増田和夫 監修、「自分で採れる薬になる植物図鑑」、柏書房、2006年
  2. 岡田恭子、「食べる野草図鑑」、日東書院、2013年
  3. 和田浩志、他、「新訂原色牧野和漢薬草大図鑑」、北隆館、2002年
  4. 水野瑞夫、太田順康、「くらしの薬草と漢方薬」、新日本法規出版、2014年
  5. 水野瑞夫、「明解家庭の民間薬・漢方薬 : 薬用植物利用のすべて」、米田該典、新日本法規出版、1995年
  6. 古谷暢基 他、「和ハーブ図鑑」、和ハーブ協会、2017年
  7. イー薬草・ドットコム   http://www.e-yakusou.com